参政党が掲げる「子ども一人あたり月10万円の現金給付」政策が、参院選を前に大きな話題を呼んでいます。SNSでも「もし本当に実現したら…」と期待する声がある一方で、「財源は?」「実行力あるの?」といった疑問の声も少なくありません。
この記事では、参政党の政策内容とその背景、そして実現可能性と財源の正体までをわかりやすく整理し、選挙前の判断材料として提供します。
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参政党とは?子育て支援に力を入れる新興政党
参政党は2022年の参議院選挙で注目された保守系の新興政党です。国民運動や街頭演説を中心に支持を拡大し、教育・健康・国防といったテーマに力を入れています。特に子育て・教育関連の政策には強いメッセージ性をもっており、「日本の未来を担う子どもたちに投資すべきだ」という理念が根底にあります。
公約内容:0〜15歳の子どもに月10万円を給付

注目の政策は「0〜15歳のすべての子どもに月10万円を給付する」というもの。単純に考えると、子どもが2人いる家庭には月20万円が支給されることになります。
その狙いは、少子化対策と経済活性化の両立。教育費や生活費に苦しむ子育て世代を経済的に支えることで、出生率の改善を目指すとしています。
財源は?参政党は「教育国債」の発行を掲げる
最大の関心事は「財源はどこから?」という点。参政党の公式発表によると、この10万円給付の財源は「教育国債の発行」で賄うとされています。
教育国債とは、本来は将来の成長に資する教育分野への投資として認められる国債ですが、それを現金給付に使うというのは異例の提案。参政党は「無駄な行政支出を削減し、教育・子育て分野に大胆に振り向ける」としていますが、詳細な制度設計や予算配分の透明性には疑問の声も上がっています。
実現可能性は?「夢の政策」には高いハードルも
選挙前になると各政党からさまざまな「バラマキ公約」が出てきますが、現実には実現が難しいものも少なくありません。参政党も現在の議席数や政権与党との距離を考えると、単独でこの公約を実現するのは非常に困難です。
また、教育国債の大量発行は将来的な財政負担を増大させる懸念もあり、「目先の人気取りでは?」と指摘する専門家もいます。
月10万円給付のインパクト:家計への影響はどれほどか?

この公約が実現すれば、世帯の可処分所得に劇的な影響を与えることになります。たとえば、子どもが2人いる家庭であれば年間240万円の給付。年収300万円前後の家庭にとっては生活の質が大きく変わる可能性があります。
ただし、自由に使える現金が増える一方で、消費傾向や格差の固定化が進む懸念も指摘されています。
他国ではどうしてる?海外の子育て給付と比較してみた
日本のような現金給付型の政策は、世界的に見るとやや異色です。たとえば、
- ドイツ:児童手当と税控除の組み合わせ(約2万円程度)
- フランス:多子世帯ほど手厚い支援(第2子以降で増額)
- スウェーデン:現金よりも教育・医療・保育の無償化に注力
多くの国は「サービス支給型」が主流であり、日本のように現金支給に強く振る政策は異例といえます。
教育国債の問題点とは?──将来のツケと財政破綻リスク
教育国債というアイデアは一見すると有望に見えますが、「現金給付」という用途では投資回収が期待しづらく、返済不能な債務が膨張するリスクがあります。
将来世代へのツケの先送り、国債の信用不安、金利上昇などの副作用が警戒されています。
なぜ選挙のたびにバラマキ公約が登場するのか?

わかりやすく有権者に訴えやすい“即効性のある公約”は、選挙戦での常套手段になっています。特に景気後退・少子化・生活不安といった課題が表面化している現在、「夢を見せる政策」は支持を集めやすい構図にあります。
独身や子育てを終えた世代の反感:見えない分断の火種に?

「また子育て世帯だけが得をするのか」──そうした不満が、独身者や子育てを終えた高齢世代から静かに広がっています。
- 「ずっと納税してきたのに見返りはない」
- 「子どもを持たない生き方もあるのに、不公平感がある」
- 「支援は必要だが、ここまで一方的だと納得できない」
こうした声に耳を傾けないまま政策が進めば、将来的に社会の分断や世代間対立を招く恐れもあります。
この政策に「賛成」「反対」する前に考えるべき3つの視点

- 短期的な家計支援としての価値と長期的な財政への影響の両面を冷静に比較する
- 他の少子化対策との相乗効果や優先順位を整理する
- 誰が、どうやって実現するのか──制度の透明性や執行力を見極める
まとめ:夢だけでなく現実の設計図を

子どもに月10万円というインパクトのある公約は、子育て世代の心を大きく動かします。しかし、政策というのは「誰が」「どうやって」「どこから金を出して」実現するのかが肝心です。
選挙公約に夢を見ることは悪くありません。ただし、現実の設計図を伴っていなければ、それは“絵に描いた餅”でしかありません。選挙前の今こそ、冷静な目で各政党の主張を見極めましょう。
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