2025年5月21日、国会で行われた党首討論にて、石破茂首相が「米5キロは3000円台でなければならない」と発言し、大きな注目を集めています。現在平均4268円と高騰する米価格に対して、首相自らが「実現できなければ責任を取る」とまで明言したこの発言は、単なるパフォーマンスなのか、それとも実行力を伴う公約なのか──。その背景と今後の展望をわかりやすくまとめました。
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石破首相「コメは5キロ3000円台でなければならない」発言が物議──庶民感覚か、それともパフォーマンスか?
石破首相の「米5キロ3000円台」発言とは?
2025年5月21日に行われた党首討論の中で、石破茂首相は「米5キロ3000円台でなければならない」と明言し、さらに「できなければ責任を取る」と述べました。
この発言は、国民民主党・玉木雄一郎代表からの「価格が下がらなければ責任を取る覚悟があるのか」という問いに対してのもので、石破首相は「責任を取っていかねばならないと思っている」と答えています。
物価高に悩む国民に対し、「コメ価格の正常化」を明確な目標として掲げるこの姿勢は、政治家としての覚悟を示すものとして評価される一方、実現性への疑問の声も上がっています。
発言の背景にある“米高騰”の実態

現在、全国のスーパーで販売されているコメ(精米)の5キロあたりの平均価格は4268円。前年に比べて約2倍の水準です。
この価格高騰の背景には、以下の要因が挙げられます:
農業従事者の高齢化と担い手不足
減反政策の影響による生産量の減少
ウクライナ情勢や円安による物流コストの上昇
備蓄米の放出が後手に回ったことによる需給バランスの崩れ
政府はすでに備蓄米の放出を始めていますが、価格は高止まりを続けており、庶民の家計に大きな影響を与えています。
現在の米価格はどのくらい?──最新データを解説

石破首相が言及した「米5キロ3000円台」という基準に対し、現在の実勢価格がどの程度かを詳しく見ていきましょう。
全国平均価格(2025年5月時点):4268円(農水省調査より)
前年同月比:+約110%
一部地域の価格:都市部では4500円を超える例も
これは、かつて「2980円が底値」と言われていた頃と比べて、家計に約1300円以上の負担増となる計算です。
特に子育て世代や高齢者のいる家庭では、“毎日食べるお米”の価格上昇が直撃しており、生活コスト全体に波及しています。
一方で、激安スーパーや地元農家直販では、まだ3000円台の価格も散見されますが、それはあくまで「限定品」や「地元特価」に限られるのが現状です。全国的に安定して3000円台で供給するには、大規模な構造改革が必要とされています。
石破政権の対応策:備蓄米の放出と増産への転換
石破内閣はこの価格高騰を受け、早急に複数の対策に乗り出しました。
備蓄米の放出強化:すでに政府備蓄からの市場放出が始まっており、随意契約で価格抑制を図る方針。
減反政策からの転換:「増産に舵を切らなければならない」と石破首相は国会で明言し、転作を促してきた従来方針を見直しへ。
補助金とインセンティブの拡充:新規就農者への支援、機械導入補助、コメ農家向け燃料費補填などが検討中。
これらの動きは、単なる場当たり的な価格対策にとどまらず、日本の農業構造そのものにメスを入れる姿勢とも言えます。
とはいえ、農地拡大や人材確保には時間がかかるのも事実。石破政権が掲げる「一日でも早く」というスピード感が、実際に現場まで届くかが今後のカギとなるでしょう。
小泉進次郎農水相の役割と課題
石破政権の注目人事のひとつが、小泉進次郎氏の農林水産大臣起用です。環境相時代とは異なるフィールドでの再登板に、期待と不安が入り混じっています。
小泉氏は就任早々、次のような対応を打ち出しました:
備蓄米の戦略的活用:随意契約による市場への売り渡しを加速
生産者との対話強化:全国の農協や農家団体との意見交換を実施
「価格と暮らしのバランス」を掲げる姿勢:価格を下げるだけでなく、生産者の利益も確保する「持続可能な農政」を目指すと強調
ただし、小泉氏には「現場感覚に乏しい」「発言が抽象的」といった過去の批判も根強く、今後の実行力が問われます。メディア受けの良さよりも、地に足の着いた政策実行が求められています。
国民の声とネットの反応は?

石破首相の「責任を取る」発言には、SNSやネットニュースのコメント欄で様々な意見が飛び交いました。
肯定的な声:
「具体的な数値で公約を示したのは評価できる」
「やっと生活者の目線で物価に向き合う総理が現れた」
懐疑的な声:
「どうやって3000円台にするの?中身がない」
「農家にしわ寄せが行くんじゃないか」
また、「どう責任を取るのか曖昧」「また“言っただけ”で終わるのでは」といった冷ややかな視線も少なくなく、国民はこれまでの“口約束政治”に対して強い警戒心を持っていることがうかがえます。
米の価格と農家の暮らし

コメの価格を下げるという目標は、消費者には歓迎されがちですが、生産者である農家にとっては死活問題にもなりかねません。
農家側の現実:
肥料・燃料・人件費の高騰で、コメの生産コストは年々上昇中
収入は米価に大きく依存しており、価格が下がれば経営圧迫
「安くしろ」と言われる一方で、生産をやめる農家も増加中
政府は「収入保険制度」や「米以外の作物への転作支援」などで農家の支援を続けていますが、長期的には「安くてもうかる農業モデル」への転換が不可欠です。
石破政権の挑戦は、“安さ”だけを追い求めるのではなく、「消費者と生産者、どちらも守る」バランスのとれた農政を実現できるかどうかにかかっています。
まとめ:首相の「責任を取る」発言は本気か?
石破首相が明言した「米5キロ3000円台にする」「できなければ責任を取る」という発言は、長引く物価高に苦しむ国民にとって大きな希望とも受け止められました。一方で、その実現には需給のバランス調整だけでなく、日本の農政そのものの見直しが求められています。
消費者にとっては「安くておいしいコメ」が戻ってくる期待
農家にとっては「持続可能な収入確保」が焦点
政府にとっては「具体的な成果で信頼を得る」正念場
「責任を取る」という重い言葉を、石破首相は単なるパフォーマンスに終わらせてはいけません。今後、米価がどう変動していくのか、農政改革がどこまで進むのか──。その一つ一つが、有権者の“評価”という形で返ってくることになります。
果たして石破内閣は、数字と実行力で信頼を勝ち取ることができるのか。注視すべき局面が続きます。
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